特集
2020.01.08 荻野由香

澄んだ夜空を彩る鮮やかな冬花火! その美しさをつくりだす市川三郷町の老舗花火店

澄んだ夜空を彩る鮮やかな冬花火! その美しさをつくりだす市川三郷町の老舗花火店
富士山の麓の富士河口湖町では、毎年1~2月にかけての週末に「冬花火」を楽しむことができます。
今シーズンは1月18日~2月23日までの土曜日と日曜日に開催。空気が澄んだ冬空に打ち上げられる花火はとても鮮やかで、夏とはまた違う美しさです。
冬の河口湖の夜はかなり冷え込みますが、風がなく湖面が穏やかな時は河口湖に映る“逆さ花火”も見ることができ、寒さを忘れてしまうほどの幻想的な世界が広がります。

今回は河口湖の冬花火をはじめ、数々の美しい花火大会を手掛けている花火店を訪ねました。古くから花火の町として知られる山梨県市川三郷町で明治34年から花火をつくり打ち上げている齊木煙火本店です。
地元の市川三郷町で行われる全国でも有名な「神明の花火」をはじめ、墨田川花火大会や諏訪湖祭湖上花火大会など、全国各地の大小さまざまな花火大会や花火ショーを年間200~300回手掛け、コンテストでは何回も金賞受賞や優勝をしている老舗花火店です。


 

繊細で果てしない作業から生まれる美しい花火

市川三郷町の中心から車で走ること約10分、静かな山あいの地に齊木煙火本店の製造工場はあります。案内してくれたのは、齊木煙火本店4代目の齊木克司社長。美しい花火をつくりだす花火師さんです。

齊木煙火本店では年間数万発の花火をつくっていて、そのほとんどが手作業で行われています。製造工場には23人の従業員が働いていて、そのうちの10人が花火師さん。入社2年目の19歳から2代目の頃から支えてくれているという80代まで、幅広い年代の職人さんが活躍しています。

花火づくりはまず、酸化剤や炎色剤などを混ぜあわせる配合からはじまります。
次は「星掛け」と呼ばれる作業で、色のもととなる火薬の「星」をつくっていきます。
直径2mmほどの粒状粘土を芯にして火薬を掛け、直径0.5mmほど大きくしたら天日で干し、また掛けては干す作業を毎日繰り返すことで「星」を大きくしていきます。
次に厚紙をプレスして作った半球体の玉皮に「星」を並べ、真ん中に「星」を遠くに飛ばすための「割薬」と呼ばれる火薬を詰め、2つを合わせて球体にします。最後に玉詰めされた玉皮上にクラフト紙を何重にも上貼っていく「玉貼り」です。花火を丸く大きく開かせるための工程で、貼っては乾かす作業を何度も繰り返し、ようやく花火ができあがります。

「星を育てる星掛けは、尺玉の20mmの星にするまで最低でも2~3ヶ月が必要な手間ひまのかかる作業で、星の締まり具合で燃焼時間が変わったりもするとても繊細な作業でもあります。星掛けのほかにも玉詰め、玉貼りなど花火づくりはすべての工程が重要で、一つ一つ気持ちを入れながら丁寧につくっています」と齊木社長が説明してくれました。


 

喜んでくれる人がいるから頑張っていける

齊木煙火本店では一人が特定の作業をするのではなく、花火師さん一人ひとりが花火づくりの最初から最後までの工程に取り組んでいます。一つの工程を習得するだけでも2~3年かかり、全工程を習得するには10年が必要だといいます。

「花火の文化を継いでいってもらうためにも1から自分でつくれるようになってほしいんです。それに自ら新しい花火を生み出すことにも挑戦してほしいと思っています。それにはすべてを習得することが必要ですから。花火は同じものをつくっても職人の個性がでるのでおもしろいですよ」と齊木社長。

さらに「花火って一気にいい玉ができるってことはなく、一日一日の積み重ねなんです。より綺麗な色味をだすために、さらに丸くて広い玉をつくり出すために、こんこんと星を掛け、玉を詰めています。確かに大変な作業ですが、見ていただいた人が喜んでくれた時はなんともいえないうれしさがあります。みんなそこがあるから頑張っていけるんだと思います」といい笑顔で話します。


 

地方の花火大会とその地域の振興を図っていきたい

そうやって昔と変わらぬ手作業で取り組まれている花火づくりですが、一方で打ち上げは大きく変化しています。かつては花火師が手で直接点火していましたが、近年は打ち上げはプログラミングされ、音楽とあわせて楽しむ花火大会が増えています。

「最近はプログラム専門の会社もあり、エンターテインメント性の強いものが主流になっています。でもどんなに精密で華麗なプログラミングをしたとしても、いい玉がなくては成り立ちません。世界の花火業者の中には自社で玉を作っていないところもありますが、自社で玉をつくっているからこそできることがあり、その可能性を広げていきたいと考えています」。齊木社長の言葉に力が入ります。
齊木社長はまた、大きな花火大会に注目が集まる中で、昔から日本各地で親しまれている地域の花火大会が少なくなってしまうことを懸念しています。
そこで今年、花火店をはじめ花火大会に携わるさまざまな業種、人を集めて「一般社団法人 日本のはなび振興協会」を起ち上げました。

「日本の花火の振興、そして花火大会が行われている地域の振興に取り組んでいこうと動き出しました。全国各地の花火大会を紹介する『はなびカード』を作成中です。カードを求めて多くの人が各地の花火大会に足を運び、その地域で観光も楽しんでもらえるような取り組みを仕掛けていきたいと思います」と意気込んでいます。


 

冬ならではの美しい花火を楽しんだあとには温泉も

大規模な花火大会を手掛けるとともに、地域の花火大会も大事にしている齊木社長が、約20年にわたり手掛けている河口湖の「冬花火」も多くの人に喜ばれ、地域を盛り上げているイベントです。

「冬花火は河口湖が全国に先駆けて行い、毎年多くの人に喜んでもらっています。冬は空が澄みきっているので色がとてもキレイです。ぜひ冬ならではの美しい花火を楽しんでください」と齊木社長もイチオシです。

ぜひしっかりと防寒をして楽しんでみてください。河口湖や周辺には温泉施設もたくさんあるので、花火を楽しんだあとは温泉で冷えた体をゆったりとあたためるのもおすすめですよ。

■2020河口湖・冬花火
日時: 1 月18 日~ 2 月23 日 の土曜日、日曜日
20時~20時20分まで
会場: 河口湖畔大池公園(メイン会場)、畳岩、八木崎公園
<問い合わせ先>
富士河口湖町観光連盟 TEL0555-28-5177(平日)
富士河口湖町観光課 TEL 0555-72-3168(平日)
富士河口湖町役場 TEL 0555-72-1111(土・日・祝日)
富士河口湖観光総合案内所 TEL 0555-72-6700(土・日・祝日)

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